題名 内容 更新日
1,兄弟 ―――まだ見たことのない兄がいる。

それが、いつの間にか自分の心に闇を落としていたのだろうか。
話によると、その兄は、自分とは歳が10近く離れているという。
自分が生まれる前にアメリカへと飛んでいってしまった兄を、
自分は、一体どう思っているのか…よく、分からなかった。
05.10.02
2,起動 「あら…?」

そこにいたのは、真っ黒い髪に黒衣を着た青年。
それから、まるで金糸のような髪に真っ白い衣装を着た女性だった。
「…何だか、楽しくなりそうじゃなくて?」
二人を見てくすりと笑うと、緑の女性は姿を消した。
05.10.02
3,探検 歩く度、足の痛みが増していく。
ゲームの中でも、こんな風に感じるのか。
朦朧とした意識の中、青年はそう思って、その場に座り、目を閉じた。
05.10.02
4,威圧 「そろそろ、テストの期間も終わりだな」

「えぇ…」
「そうしたら、一般化するんですわね。…何だか、しっくりきませんわ」
最近は、どうにも3人で行動することが多くなっていた。
きっと、この期間が終われば、最終的には全員が離ればなれになるのだろうが。
05.10.02
5,共有 その日、空は晴れ晴れとしていた。


「んにゃわーっ!遅刻するーっ!!」

そして、ベタなこと。
その青空の下、少女が一人、学校へ向かって走っていた。
05.10.02
6,未開 友達と話し合って、既に登録を済ませたゲーム。
見た目よりも軽い、かぶり物の機械。
どこもかしこもこのゲームの話で、持ちきりだ。

―――街に張られた広告の数々。

時折それに目を奪われては、足を止めたものだ。
06.02.06
7,野苺 ―――じっと眺めた掌は、現実と変わらなかった。

いつもシャーペンが握られている手に、
ぎらりと光を跳ね返す、一本の刀が握られている以外は。

「ゲームと、リアル…か。」
06.02.06
8,言葉 「あ、綺麗な子」

「……は?」
 それは、武器屋の前での事だった。
 一人、槍を立て、道具屋の横に座り込んでいる少女。
 彼女は石に座っていて、槍の先っぽは、彼女の頭一個分ぐらい上にあった。
06.03.29
9,鋭利  また、一緒に冒険できると良いねと。
 君は、笑った。


「で、どこに向かってるんだ?」

「あー、別に、アテもなく」
「……ちょっとは考えて歩こうぜ」
「同感」
06.03.29
10,忘我  他とは違うオーラを放つその人物に、リージスティは思わず魅入った。
 少しばかり、色調はエレクトラに似ているであろうか。
 腰辺りまである長い金髪を一つに束ねて。
 肌の色は、透けるように白く。
 白い、ローブ。
 そして、遠くを見つめるその紫色の双眸。
 年の頃は……恐らく、20代前半か、その少し上だろう。
06.12.04